富山ポジティブシンキング第3回「春」と「白えび」

 今年の桜は、全国的に早く咲きましたね。富山市内の桜の名所「松川・磯部堤」でも、3月26日に咲き始めたと思ったら、ポカポカ陽気であっという間に満開。4月4日には雨が降って花吹雪です。お弁当を持ってお花見とはいきませんが、たくさんの人が桜並木をそぞろ歩いていました。ユキヤナギやチューリップなども一斉に咲き、街路樹のけやきも新緑に。富山の本格的な春到来です。

 さて、もう一つ、この季節の富山でのお楽しみといえば「白えび」漁の解禁です。

 白えびは、「富山湾の宝石」とも言われている小さなえびです。駿河湾で取れる「桜えび」の仲間ですが、その名前の通り白〜薄紅色。色合いで見たら、どちらかと言えば「白えびの方こそソメイヨシノの花びらと同じ色だなあ」と思います。

 そんな白えびとの出会いは、富山に来たばかりだった昨年の9月です。スーパーマーケットに並ぶ高級食材・白えびに感動して「さすが富山だ!」と思いました。ところが、冬になると売られていない。なんということはない、もうその年の漁が終わってしまったのでした。旬にはルールがあるのですね。

 白えび漁ができるのは、日本全国でも水深が深い富山湾だけ。しかも4月1日から11月末までしか行われていません。これも貴重な資源を守るためです。ちなみに、土産物屋などに行けば、冷凍のむき身などが年間を通して売られています。殻をむいた白えびは、一つ一つが小指の先ほど小さく、高級寿司ネタなんですよ。

 というわけで、数か月ぶりに白えびとの再会ができました。やはり「初もの」「ハシリ」は気分が上がります。白えびは、ボタンえびや伊勢えびのように、「ここにいるよ!」と存在感を主張しすぎることもなく、影薄く3〜5cmの小さな体に長いヒゲを揺らせて店頭に並んでいます。冷凍後であれば殻がむきやすくなるそうですが、家庭で行うのはかなり大変です。

 さて、どうやって食べようかしら。手っ取り早いのは、粉をつけて、から揚げでしょうか。

 地元の友人おすすめの食べ方は、しいたけやたまねぎと一緒に煮てうま味たっぷりの「そうめんつゆ」を作ることでした。出盛りになったら、これもぜひ、試してみたいと思います。

▲白えびはひげが長くて、よく見ると前脚のカギ爪の先がきれいな紅色をしています。殻つきならではの発見でした。

▲かたくり粉をふって揚げ、レタスにのせたらレモンを絞るだけ。ビールがとても進みます。

TA企画

「おいしいものを皆に伝えたい!」「おいしいものを皆に届けたい」 だけど、「ここにあるよ」と伝えることって難しい。。。。。 そんな皆さまの力になりたい! と、 フリーの編集企画ライターとして活動を始めました。 田原朋子と申します。 食と健康の実用書編集歴30年のプロフェッショナルに、どうぞおまかせください。 妄想店名「cafe que(かふぇけ仮)」Instagramも、1日1投稿を心がけています。

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